ゴリラとあそんだよ|霊長類学者とあべ弘士さんによる優しい楽しいゴリラ絵本

絵本
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福音館書店発行の「ゴリラとあそんだよ」。高名な霊長類学者であるやまぎわじゅいちさんと、旭山動物園の飼育員から絵本作家へと転身したあべ弘士さんによる、ゴリラへの含蓄と愛情あふれるとても素敵な絵本です。ゴリラの生態の解説付き。オススメです!

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作者はやまぎわじゅいちさん&あべ弘士さん

「ゴリラとあそんだよ」は、京都大学教授で霊長類学者のやまぎわじゅいち(山極寿一)さんが文。旭山動物園の飼育員を25年間やったのちに絵本作家へと転身し、一躍大人気作家になったあべ弘士さんが絵を担当しています。

この本がとてもユニークなのは、やまぎわさんが演じるゴリラのドラミングやナックルウォークを、あべ弘士さんがスケッチして制作したとのことです。
やまぎわさんがいかにゴリラの真似がうまかったとしても、そこはリアルのゴリラのスケッチでよいのでは…と思ってしまうのは野暮というものでしょうか。笑

やまぎわじゅいち(山極寿一)さんについて

やまぎわじゅいちさん(光村図書サイトから転載)

やまぎわじゅいち(山極寿一)さんが直接制作に関わった絵本は、「ゴリラとあそんだよ」「ゴリラとあかいぼうし」などほんの数冊だけです。
それもそのはず、ご本人は完全にアカデミックの世界の方で、本業は大学教授であり、研究者であるからです。

とはいえ、超がつくゴリラの専門家ですから、「ゴリラとあそんだよ」のストーリーはファンタジーでありながら、とても質の高いゴリラ論・霊長類コミュニケーション論にしあがってるわけです。

1952年東京生まれ。京都大学理学部卒業、理学博士。(財)日本モンキーセンター研究員、京都大学霊長類研究所助手を経て、現在京都大学大学院理学研究科教授、国際霊長類学会会長。著書に『ゴリラの森に暮らす』(NTT出版)『ゴリラ』(東京大学出版会)『ゴリラ図鑑』(文溪堂)『ヒトはどのようにしてつくられたか』(編著/岩波書店)『ヒトの心と社会の由来を探る』(高等研選書)、絵本の仕事に『ゴリラとあかいぼうし』(福音館書店)などがある。京都府在住。

Amazonから転載

こちらの本は、ゴリラと直接は関係ないけど(ちょっと出てきます)、結構感動的な本です。「人間ってなんなんだろう?」という素朴な疑問に、ひとつの確かかもしれない答えを提示してくれます。
建築家の山田紗子さんがオススメしていたことも印象に残っています。

あべ弘士さんについて

全国でも屈指の人気を誇る北海道の旭山動物園で25年間飼育員として働いていたあべ弘士さん。飼育員として勤務中から、動物園内やグッズのアートワークを手がけていましたが、1996年に独立し、絵本作家一本の生活に入られました。

1948年北海道旭川市生まれ。旭川市在住。
1972年から25年間、旭山動物園の飼育係として様々な動物えを担当する。飼育係たちの間で話しあった“行動展示”の夢を絵として残し、旭山動物園復活の鍵となった。1996年動物園を退職し、現在は絵本制作を中心に、全国でワークショップなども行なっている。2011年には、旭川市を拠点とした「ギャラリープルプル」の運営をはじめ、アートを通してこどもも大人も楽しめるまちづくりに励んでいる。
著書に、『あらしのよるに 』(講談社出版文化賞絵本賞受賞)、『ゴリラにっき』(小学館児童出版文化賞受賞)、『宮澤賢治「旭川。」より』(経産児童出版文化賞美術賞受賞)、『クマと少年』(日本児童ペン賞絵本賞・北海道ゆかりの絵本大賞受賞)など多数。

Galleryプルプルから転載

詳しくはこちらの記事で紹介しているので、もしよかったご覧にあってみてください。

「ゴリラとあそんだよ」あらすじ紹介

ぼくが忘れ物をして学校に戻ると、なんと校庭でゴリラの子供が二人、楽しそうにあそんでいた!

というお話しです。ファンタジーですね。笑

最初は遠くで眺めていたぼくは、徐々にゴリラの子供たちとの交流を深めていきます。ゴリラのドラミングを真似したり、ナックルウォークを一緒に楽しんだり、ゴリラとタッチしたり。いつの間にかとっても仲良しになってしまいます。

そして最後は、ゴリラのお父さんも登場。

子供とは桁違いの大きさと迫力のお父さんにぼくは大興奮!

あべ弘士さんが描くゴリラは、本当に魅力的ですね。
とても愛嬌があるのですが、筋肉隆々のゴツゴツした雰囲気もちゃんとある。表情もとてもいきいきしていて、眺めているだけで楽しい気持ちになってきます。

絵本の最後にある、ゴリラの生態を解説したページも面白いです。

ゴリラたちはいばった態度をすることが大好き!

そのいばった態度を極端に表現する手段が、ナックルウォークであり、ドラミングであるわけですね。
大人ゴリラのドラミングは「ババババーン!」と大きく響き渡りますが、子どもゴリラのドラミングはベチャベチャとした音がするそうです。
聞いてみたい。笑

書誌データ

発行元 福音館書店 ※公式サイト 
発行日 2011年09月15日
価 格 1200円(税別)

ゴリラが出てくるかわいい絵本たち

バナナをかぶって

ゴリラが出てくるかわいい絵本が大好きなココノチチ。他にも、ゴリラが出てくるおすすめの絵本をいくつか紹介してみます。

バナナをかぶって|文・中川ひろたか/絵・あべ弘士

ゴリラはごりら|作・工藤直子/絵・あべ弘士

キャベツくん|長新太
表紙にはいないけど、ゴリラがでてきますよ。キャベツゴリラが超かわいい。