文研出版から発行されている長新太さん作の人気シリーズ第1作「キャベツくん」です。ハラが減ってふらふらのブタヤマさんに狙われたキャベツくんがみせるキャベツイリュージョンとそれに「プギャ!」とお届くブタヤマさん。子どもたちが大好きな、抱腹絶倒のシュールレアルな名作絵本です。そして、第4回日「絵本にっぽん大賞」の受賞作品。オススメ!
作者は長新太(ちょうしんた)さん
“ナンセンスの神様”こと、長新太(ちょうしんた)さんが「キャベツくん」の作者です。“ナンセンスの”という枕詞をつけるまでもなく、絵本の神様です。
一度見たら忘れない、独特の色使いとタッチのイラスト。そして、何度読んでも大人はポカーン&子どもは爆笑のユニークすぎるストーリー。長新太さんの絵本を読み聞かせしているといつも、一切の因果律に囚われることなく純粋に物語を最高に楽しむことのできる子どもが羨ましくなってしまいます。そして、そのような絵本をどんどこ生み出し続けた長新太さんのクリエイティビティーに感服するのであります。
ちなみに長新太さんは2005年に他界されています。とても寂しいです。
長新太さんのプロフィールの詳細は、こちらの記事で紹介していますよ。
キャベツくんシリーズについて
頭がキャベツの少年(?)、キャベツくんが登場する人気シリーズです。これまで5作品が出版されていますが、だいたい5年に1回というペース。
この間隔のあきかたもすごいですね。なんとなく一気に作ってしまいそうなものですが、最新作が出たのは2003年、第1作から20年以上も後のことです。いつの時代でも支持される世界観と、長新太さんの絶対的で確固たる世界観ゆえの成せる技ですねぇ。
- キャベツくん 1980年9月発行 ▶︎詳細はこちら
- ブタヤマさんたらブタヤマさん 1986年9月発行 ▶︎詳細はこちら
- キャベツくんとブタヤマさん 1990年9月発行 ▶︎詳細はこちら
- キャベツくんのにちようび 1992年9月発行 ▶︎詳細はこちら
- つきよのキャベツくん 2003年9月発行 ▶︎詳細はこちら
正直言って、一冊買うと絶対に全部読みたくなるので、最初からセットで買ってしまうのがオススメです。本当に本当に、本当です。
「キャベツくん」あらすじ紹介
ライオンがキャベツを食べるとどうなるのかな? じゃあクジラが食べると? キャベツくんとブタヤマさんの楽しい会話のおもしろさ。
文研出版公式サイトから転載
なんというか、説明するのもヤボなんですが、説明します。笑
お腹を空かせてヘロヘロになったブタのブタヤマさんが、キャベツくんを見つけて「キャベツ、おまえをたべる!」と宣言。おどろいたキャベツくんですが(わたしもとってもおどろいた)、そこで一言。
「ぼくをたべると、
キャベツになるよ!」
???です。もちろんブタヤマさんも???。
ここから、キャベツくんのイリュージョン開始。いろんなどうぶつたちがキャベツくんを食べるとどんなになっていまうのか、ブタヤマさんに次々見せていきます。ブタヤマさんはその度に、
「ブキャ!」
っと、ブタらしい(?)悲鳴をあげるのです。笑
最後はとうとうあきらめブタヤマさん。しょんぼりしてしまったブタヤマさんにキャベツくんがさらっとひと言。「むこうに おいしいレストランが あるから なにか ごちそうしてあげるよ」。しびれます。
そしてそして、最後の最後は特大のパンチライン。
ブタヤマさんの よだれが
かぜにのって、やわらかく
ながれていきました。
なんじゃそりゃ…
絵本の見返しに印刷されていた、長新太さんのことばを引用します。
とても面白く、なぜこの絵本が生まれたのかのエッセンスが詰まっているので、少し長いですが全て書き写してみますね。
せまいまちにすんでいるせいか、ぼくは、ひろいところがだいすきです。
絵本から転載
ちへいせんのみえるところとか、うみやそらが、いっぺんにみえるところが、だいすきです。ひろいひろいそらをみていると、いろいろなものがみえてきます。ブタヤマさんは、おなかがペコペコなので、このえほんにでてくるようなものを、みたのです。
おなかがいっぱいだったら、ブタヤマさんは、なにをみたかしら。ぼくは、ひろいひろいそらをみて、いろいろなことを、かんがえます。からだのなかが、どんどんひろくなっていくのがわかります。そういて、やさしいきもちになっていきます。
そう、キャベツくんは、長新太さんの分身だったのです。(そうなのか?)
キャベツに侵食されたどうぶつたち
絵本のなかで、キャベツくんが「こうなる!」と叫ぶと、どんなどうぶつもキャベツになっちゃいます。ブタ、ヘビ、ライオン、クジラなど、サイズも関係なく問答無用ってやつです。
その中で、特に私がお気に入りの二人だけご紹介。
まずはゾウ!耳かな〜と想像しながらページをめくると、鼻でした!
そしてゴリラ!おっぱいふたつかな〜と想像しながらページをめくると、胴体でした!
足、そこだけなんだ。笑
「キャベツくん」のオススメ年齢
実感としてのオススメは、2歳〜という感じです。長新太さんの素晴らしさとトンデモなさは、少し自分でも言葉を操りはじめ、物語の筋も追えるようになっているととてもよくわかるように思います。
我が家では1歳くらいから読み聞かせてはいましたが、2歳以降により反応がよくなったような気がします。
ちなみに、とても仕事で疲れた時にこの本を読むととても癒されますよ。実はこちらの方が超オススメです。笑
我が家の蔵書。
書誌データ
発行元 文研出版 ※公式サイト
発行日 1980年9月1日
価 格 1300円(税別)