角野栄子さんと長新太さんという二人の神様による、楽しくて元気がでる絵本「サラダでげんき」。福音館書店から2005年に発行されました。具合の悪いおかあさんのために、りっちゃんが動物たちの手(?)と知恵を借りながら、おいしいサラダを作り上げます。このりっちゃんサラダ通りに作れば、野菜が苦手な子どももモリモリ食べるとか!? 読み聞かせのオススメは3歳くらいからですが、大人も一緒に絵とお話を楽しめる名作絵本!
作者は角野栄子さん!と長新太さん!
「サラダでげんき」は、二人の神様による作品です。一人目は、角野栄子(かどのえいこ)さん。そして二人目は、長新太(ちょうしんた)さん。二人とも超がつくほどの人気作家で、どちらかお一人が携わっているだけでも無条件で手に取る価値のある絵本だといえますが、「サラダでげんき」はその二人の共作!
これは、控えめに言って必読、いや必携です。
それぞれの詳しいご紹介は記事を分けますが、簡単なプロフィールと特にオススメの数冊にしぼって紹介しておきます。
角野栄子(かどのえいこ)さん
東京に生まれる。1960年ブラジルに出かけ2年間滞在。1970年頃より絵本、童話の創作をはじめる。『ズボン船長さんの話』で旺文社児童文学賞、『おおどろぼうブラブラ氏』で産経児童出版文化賞大賞、『魔女の宅急便』で野間児童文芸賞、小学館文芸賞、IBBYオナーリスト・文学作品賞を受賞。1984年路傍の石文学賞受賞。神奈川県在住
Amazon商品紹介ページから転載
このプロフィールは「サラダでげんき」出版当時のもの。いくつかの重要な情報が抜けていますので、以下細くします。ちなみに2021年3月現在、86歳でいらっしゃいます。
- 2000年 紫綬褒章を受章
- 2014年 旭日章綬章を受章
- 2018年 国際アンデルセン賞作家賞を受章
国際アンデルセン賞というのは、絵本の世界のノーベル賞にあたるもの。まさに国民的、世界的な童話作家・絵本作家です。さらに2020年には、幼少期を過ごした東京都江戸川区から、「江戸川区角野栄子児童文学館」の建設が発表となりました。総工費約30億円という大プロジェクトで、建物の設計は隈研吾さん。完成は2023年(予定)!
ここで紹介するのは、個人的にとても有名ですが、本当に読むべきオススメです。
大大大の代表作。ジブリアニメ「魔女の宅急便」の原作です
読み返したい大人には、こちらがオススメです。デザインかわいい。
角野栄子の小さなおばけシリーズ!
長新太(ちょうしんた)さん
1927年、東京に生まれる。漫画家、絵本作家。1959年『おしゃべりなたまごやき』で文藝春秋漫画賞受賞。1981年『キャベツくん』で第4回絵本にっぽん大賞受賞。1984年『ぞうのたまごのたまごやき』で第33回小学館絵画賞受賞。2002年第37回エクソンモービル児童文化賞受賞。東京都在住
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“ナンセンスの神様”の異名をもつ、センスの塊。本名は、鈴木揫治(すずきしゅうじ)さんといいます。残念ながら、「サラダで元気」が出版された2005年の6月に77歳で亡くなられました。もともとは漫画家として活動していましたが、さまざまな試みを続けるうちに、絵本作家へと“横すべり”していったというのは本人談。
「サラダでげんき」のような作・絵が分かれいるものもよいのですが、長新太さんの真の魅力は、自ら創作したストーリーと絵がセットになったときに湧出してくると感じます。因果律にとらわれない自由な世界は、多くの子どもたち親たち、そしてプロの作家たちを魅了しました。
亡くなられた直後に催された”しのぶ会”に集まったのは、五味太郎さん、あべ弘士さん、荒井良二さん、飯野和好さん、高畠純さん、中川ひろたかさん、長谷川義史さんといった絵本界のいずれ劣らぬスターたち。ここに並んだ名前を眺めるだけでも、長新太さんのすごさがわかりますよね。
長新太さんは上のプロフィールに記載のあるもの以外にも、国際的な賞など多数受章されています。以下抜粋です。
- 1960年 イタリア国際漫画サロン国際漫画賞を受章
- 1974年 国際アンデルセン賞優良作品賞を受章
- 1999年 日本絵本賞を受章
- 2005年 日本絵本大賞を受章
オススメの本。どうしても選びきれないので、「サラダでげんき」と同じく、ピンクがステキな絵本をいくつか紹介します!
ナンセンス爆発!四角いお月さまを見上げてみたい
しんくんと変身を繰り返すフシギなライオンの話
特にオススメ!ドーン、ドロドロドロ〜
「サラダでげんき」あらすじ紹介
りっちゃんはお母さんが病気になってしまったので、なにかいいことをしてあげたいと考えます。そこで、美味しいサラダを作ることにしました。きゅうり、きゃべつ、とまと、をお皿に乗せたところで、ねこ、いぬ、すずめ、あり、うまが次々とやってきて、サラダ作りのアドバイス。北極からは白熊の電報が届き、最後にはぞうが飛行機に乗って登場します。みんなが手伝ってくれたおかげで、美味しいサラダの出来上がり。りっちゃんのお母さんはそのサラダを食べてたちまち元気になりました。
Amazon商品紹介から転載
かわいいピンクとイエローとオレンジが印象的な絵本。
表紙でゴミ箱を持っているのはりっちゃん。何をしているんだろう。お手伝いかしら。
物語のあらすじは、上に転載したものがすべて。これを読んだだけでもとってもおもしろくて笑ってしまうんですが、この絵本の素晴らしさはこれにとどまりません。とにかく絵がすばらしいのなんの。
長新太さんの絵はどれも独特で、グリーンやブルーなどの色を使った作品が多いです。「サラダで元気」で一番目立つのは、ピンク!これが本当にユニークで、幼い少女が大好きなおかあさんのために奮闘する物語の雰囲気を表現するのにバチッとはまっているんです。本当にステキ。
そして色使い以外も、登場人物全員のちょっとした表情がたまりません。
お母さんの具合を心配しているりっちゃんの表情。
したり顔でりっちゃんにレシピを教えるネコの表情。
最後にジェット機で駆けつける象の瞳
元気なってみんなと踊るお母さんとりっちゃん、二人の笑顔!
とてもステキで、何度でも読みたくなる名作絵本です。
我が家の蔵書です。