評論社から1986年に発刊された「わすれられないおくりもの」。作者はスーザン・バーレイさん。森のみんなから愛されてていた年老いたアナグマの最晩年、そして没後譚です。アナグマの死に悲嘆にくれた仲間たちは、やがてアナグマが”まったく”いなくなったわけではないことに気づき、死を受け入れていきます。とても寂しいけど、とても優しいおはなし。何度でも子どもに読み聞かせたい。
作者はスーザン・バーレイさん
イギリス人のスーザン・バーレイさんのデビュー作です。通っていた美術学校の卒業制作として制作されたのが本作品。イギリスで1984年に出版された「BADGER’S PARTING GIFTS」が、小川仁央さんにより翻訳されて1986年に日本国内で出版されました。
小川仁央さんは、その後もスーザン・バーレイさんの絵本の翻訳を何冊も手がけていらっしゃいます。いくつかオススメを紹介します。
アナグマさんはごきげんななめ(1998)評論社
はじめましてスミレひめよ(1999)評論社
「わすれられないおくりもの」あらすじ紹介
Amazon掲載の内容を紹介します。
賢くて、いつもみんなに頼りにされているアナグマだが、冬が来る前に「長いトンネルの むこうに行くよ さようなら アナグマより」という手紙を残して死んでしまった。悲しみにくれる森の動物たちは、それぞれがアナグマとの思い出を語り合ううちに、彼が宝物となるような知恵や工夫を残してくれたことに気付いていく。そして、春が来る頃には、アナグマのことは楽しい思い出へと変わっていった。
Amazon商品紹介ページから転載
年老いたアナグマの終活と、その後のお話です。
日本ではあまりなじみがないけど、イギリスではとても愛されているアナグマを主人公とする本書は、子どものみならず、いや、多くの大人を魅了する絵本。
「身近な人の死」は、人生でもっともつらいことの一つ。それをどう乗り越えていけばよいのか。または、死後残してしまうだろう愛する人たちのために、いま自分は何をすればよいのか。
死はとても身近なわりに、とてもあつかいずらいもの。
そして正面から向き合うと、とてもつらいものでもあるのですが、「わすれられないおくりもの」は、とてもやさしくおだやかに(でも決して軽すぎず)、死の本質と向き合い方を示してくれます。涙
「わすれられないおくりもの」をオススメできるのは何歳?
これはとても難しいですね。
私も30歳を超えたあたりからようやく死が身近になった感覚があります。この本は正面から「死」というものを扱ったものなので、「死」の概念を理解していなければ読んであげてもあまり意味がないのでは。ということも考えられます。
ですが私はあえて、「死」を理解しているかどうかに関わらず、言葉を理解できるようになったら読みきかせてあげるべき本だと考えています。だって、「死」はいつだって人の都合は待ってくれないから。
絵本の読み聞かせを何歳までするかできるのかわかりませんが、それまではずっと、自分への読み聞かせをかねて読み続けたいです。
言葉の理解度は個人差が大きですが、オススメはおおよそ2歳〜といったところかしら。
我が家の蔵書です。
書誌データ
発行元 評論社 ※公式サイト
発行日 1986年10月1日
価 格 1200円(税別)
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