1998年にクレヨンハウスから発刊された「バナナをかぶって」。絵は、旭山動物園の飼育員さんをしていたことでも有名な、あべ弘士さんです。なんでゴリラがバナナをかぶっているのか、そんなちっちゃなことは気にしない、バナバナバナバナバナバナバナナ、って感じの愉快な一冊。オススメできるのは、2歳くらいからかな?
作者は中川ひろたかさん&あべ弘士さん
作が中川ひろたかさんで、絵があべ弘士(あべひろし)さんです。
中川ひろたかさんは絵本作家のほか、シンガーソングライターとしても知られています。「バナナをかぶって」も、もともとは歌の歌詞として作られたものだったとのこと。そこに、あべ弘士さんのほがらかでダイナミックでありながら独特のタッチの絵がついて、このすばらしい絵本になったというわけです。
絵のあべ弘士さんをご存知でしょうか。もともとは、旭山動物園の飼育員として働かれていたことで有名です。
1948年北海道旭川市生まれ。旭川市在住。
Galleryプルプルから転載
1972年から25年間、旭山動物園の飼育係として様々な動物えを担当する。飼育係たちの間で話しあった“行動展示”の夢を絵として残し、旭山動物園復活の鍵となった。1996年動物園を退職し、現在は絵本制作を中心に、全国でワークショップなども行なっている。2011年には、旭川市を拠点とした「ギャラリープルプル」の運営をはじめ、アートを通してこどもも大人も楽しめるまちづくりに励んでいる。
著書に、『あらしのよるに 』(講談社出版文化賞絵本賞受賞)、『ゴリラにっき』(小学館児童出版文化賞受賞)、『宮澤賢治「旭川。」より』(経産児童出版文化賞美術賞受賞)、『クマと少年』(日本児童ペン賞絵本賞・北海道ゆかりの絵本大賞受賞)など多数。
旭山動物園内外の多くの壁画やオブジェ、それにグッズなどでみたことがある人も多いのではないでしょうか?ポツン、と点でかかれた目が特徴です。かわいい、おそろし、にこやか、狡猾などなど、動物の顔や表情に対する人間の勝手な表現を拒絶するかのような無表情。
行動展示の礎を気づいたあべ弘士さんならではの“動物本位”が、あの目の表現にあらわれているような気がしてきます。
動物たちからはたくさんのことを学んだ。ゴリラからは哲学、絵はゾウからだな。そしていま、カワウソのように生きたいと思っている。
講談社 絵本通信から転載
あべ弘士さんの絵本は素晴らしいものが多いですが、やはり特にバナナはいいですね。ゴリラの“哲学者”と静けさと愛らしさを感じます。
オススメをいくつか紹介します。ひとつは詩集ですが。
「バナナをかぶって」あらすじ紹介
あらすじ…
特にないです。笑
バナナひとふさが全部自分のものだったら、という夢想をしたゴリラの夢が描かれています。途中、宇宙まで飛んでって、ニューヨークに落ちてきてみたりします。このあたり、子どもたちはポカーンとしてますが、読み手が盛り上げると(盛り上げ方むずい笑)キャッキャしながら楽しめます!
おなかをすかしたこいぬがないてたら
もういっぽんもいでさしあげる
こんなほっこりシーンも間に挟みながら、最後はバナバナバナバナバナバナナ…と夕暮れの森に帰っていくゴリラです。
「バナナをかぶって」はもともと歌
ますだゆうこさん作曲、中川ひろたかさん歌詞、の歌だったという「バナナをかぶって」。絵本の見返し部分には、手書きの楽譜がしっかりと掲載されています。ギターコードの表記も!
音楽の心得のある家では、演奏しながら歌いながら、楽しむことができますね。
ラストシーンの「バナバナバナバナバナバナナ」が歌詞にないのは、ご愛嬌。笑