だいふくもち|けっこう怖いぞラストシーン、忘れられない日本昔話

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福音館書店から1977年に出版された「だいふくもち」。双子の絵本作家、田島征三さんの代表作です。あらすじは、なまけものがなんだかよくわからないもの(UMA?)との出会いをきっかけに大富豪になるが、調子に乗りすぎて大失敗。よくある筋の昔話。だけど、なんだかこわい…一度読んだら忘れられない印象的な珠玉の一冊。おすすめです!

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「だいふくもち」あらすじ紹介

福音館書店公式サイトから転載

Amazon掲載の内容を紹介します。

怠け者のごさくは、ある晩、自分を呼ぶ声に家の中をさがしてみると、床下に300年も住みついているという大福餅を見つけました。その餅は小豆を食わせると次々と小さな大福餅を産みます。その餅を売りだすと、うまいうまいと評判になり、ごさくは大金持ちになりました。ところが、ごさくが欲張って山盛りの小豆を大福餅の上に積みあげて食わせたために……。

Amazon商品紹介ページから転載

ごさくがダメ人間なのはご愛嬌なのですが、ラフなタッチで色のトーンが暗めの絵が、
とにかくこわい
よく言えば、迫力がある。

ラストシーンのごさくが消えてしまい、衣服だけ残ったシーン(正確には最後から2ページ目)などは完全にホラー。夢見が悪くなりそう… 笑

何ごとも“ほどほど”が大事です

この本の教訓はなんでしょうか。

  • チャンスに身を投じるべきだということ?
  • 決して調子に乗りすぎるべきではないということ?
  • 欲をかきすぎないことが大事だということ?

大人の視点で考えると教訓だらけの本書ですが、ただシンプルに楽しむのがもちろん正解でしょう。

ただ、ふとした瞬間にラストシーンとともにごさくが脳裏に浮かびあがり、あの表情のない目でじーっと見つめられる日がやってくる気がします。その時ごさくは、あのうつろな目で何をうったえかけてくるのか…

その内容は、あなた次第。笑

ごさく〜!!!

子どもたちもなんだか苦笑いしながら読み進め、最後は完全に真顔。でもなんだかクセになって何度も読みたくなってくる、鈍器のような名作絵本です。
そりゃとにかくどんな方向性にしろ魅力がなければ、出版から40年以上も読み継がれるはずないですからね。この事実だけでも、読む価値があることの証。

我が家の蔵書です。

書誌データ

発行元 福音館書店 ※公式サイト
発行日 1977年4月1日
価 格 900円(税別)

作者は田島征三(たしませいぞう)さん

双子の絵本作家として有名な田島征三さん。軍人の父から生まれ、ググッとラフで力強いタッチの画風が特徴です。代表作は、今回紹介する「だいふくもち」をはじめ、「ちからたろう」「ふきまんぶく」「とべバッタ」「オオカミのおうさま」など。

1940年に大阪府堺市で生まれ、育ちは高知県。土佐高校を卒業後、上京して多摩美術大学 図案科に入学。同大学を卒業後、数々の絵本やイラストレーションの賞を受賞。2021年現在もご存命で、ご活躍中。

特にオススメできる絵本を、いくつか紹介します。田島征三さんの絵本はやはり絵の力がすごいですね。思わず読み聞かせる方のセリフにも力が入りますし、その結果、子どもたちも絵本の世界にググッとのめり込んで来るような感覚があります。

ふきまんぶく/偕成社
第5回講談社出版文化賞受賞

とべバッタ/偕成社
第138回小学館絵画賞

つかまえた/偕成社
表紙がすごい迫力!

Amazonから転載

双子の兄も、絵本作家

双子の兄弟、田島征彦(たじままさひこ)さんも絵本作家で、「じごくのそうべえ」「はじめてふったゆき」「ふしぎなともだち」などの代表作があります。双子の兄弟のそれぞれが高名な絵本作家とは、なんともすごい話しですね!
特にオススメの絵本を、いくつか紹介します。どれも絵とストーリーがダイナミックに融合した名作です。

じごくのそうべえ/童心社
第1回絵本にっぽん賞受賞

はじめてふったゆき/偕成社
1989年ライプツィヒ国際図書デザイン展金牌受賞

ふしぎなともだち/くもん出版
第20回日本絵本賞大賞受賞

田島征三さんと田島征彦の共作、「ふたりはふたご」も1996年に出版されています。

ふたりはふたご/くもん出版