我が家でも大人気のオジかわいい主人公が大活躍の、だるまちゃんシリーズ第2作「だるまちゃんとかみなりちゃん」です。作者は加古里子(かこさとし)さん。だるまから手足がニョキッと生えてるだるまちゃんは、落ち着いてみるとけっこう怖い。さらに、怖くて乱暴な鬼として描かれることがほとんどであるカミナリさまの子ども、かみなりちゃん。この二人の偶然から生まれた交流と友情のお話です。初版発行は1968年8月!およそ50年前、プラハの春と同年ですね。人生ゲームが初めて発売されたのも、この年みたいですよ。
作者は加古里子(かこさとし)さん
作者の加古里子さんは、1926年3月生まれの絵本作家。これで“かこさとし”さんと読むんですね。私は音から入ったので、表記をはじめてみたときびっくりしました。読み方注意!
ちなみに本名は中島哲(なかじまさとし)さんというそうです。これを知った時も、「“かこさとし“はペンネームだったのかー!」とプチショック(?)を受けました。笑
もともとは福井県生まれですが、育ちは東京。東京大学工学部卒で工学博士と、絵本作家として高名ないまのイメージとはかけはなれた理系高学歴です。大学卒業直後は昭和電工に入社し、しばらくは研究所で働いていらっしゃったとのことです。
一方、学生のうちから子ども向け演劇などの脚本制作などの創作活動を積極的にされており、絵本作家としてのデビューは33歳となった1959年のこと、福音館書店から出版した「だむのおじさんたち」という作品でした。社会にでてから約10年後、本願叶って絵本作家になられたのかもしれませんね。しかし、すぐに会社をやめることはなく、47歳(1973年)まで昭和電工でお勤めされていたそうです。
その後フリーランスとなり、活発に絵本の出版をおこなっていくかこさん。
かこさとしさんは、だるまちゃんシリーズに代表されるかわいらしいキャラクターが登場するものから、学者・研究者としての専門知識をいかした化学絵本まで、幅広い作品を手がけています。
ですが、その直後の2018年5月に他界。92歳、慢性腎不全とのことですので、大往生ですよね。
死の直前まで創作をやめることがなかったかこさとしさん。すばらしいクリエイター。
どうぞ安らかにお眠りください。
詳しいプロフィールは、かこさとしさんの公式サイトに掲載されているので、興味のある方は覗いてみてくだしい。
かこさとしさん公式サイト
だるまちゃんシリーズについて
1967年、かこさとしさんが41歳の時に、第1作「だるまちゃんとてんぐちゃん」が発売となりました。その後、2018年に最新刊が出ていますので、50年以上にもわたって続いている大大大ロングセラーです。
現在までで出版されているだるまちゃんシリーズの絵本は、下記の全11作品。
- だるまちゃんとてんぐちゃん 1967年11月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとかみなりちゃん 1968年8月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとうさぎちゃん 1977年4月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんととらのこちゃん 1987年1月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとだいこくちゃん 2001年1月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとてんじんちゃん 2006年10月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとやまんめちゃん 2014年6月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとにおうちゃん 2016年12月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとかまどんちゃん 2018年1月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとキジムナーちゃん 2018年1月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとはやたちゃん 2018年1月発行 ▶︎詳細はこちら
もし、かこさとしさんがまだご存命だったら、2020年に「だるまちゃんとアマビエちゃん」が出版されていたかもしれませんね。読みたかった!
また絵本の対象年齢は、だいたい3歳〜となっていますが、保育園などで仲の良い友達もできはじめる2歳くらいであれば、十分楽しめると思いました。うちの次女は、1歳のうちから大好きでした。
記念すべき第1作!
こんなのもありました。笑
動画:夏だ!踊ろう! だるまちゃん音頭
「だるまちゃんとかみなりちゃん」あらすじ紹介
Amazon掲載の内容を紹介します。
雨の日、だるまちゃんが外に遊びにいくと、空から浮き輪とかみなりちゃんが落ちてきました。だるまちゃんは、木に引っかかった浮き輪を取ってあげようと、傘を投げますが、傘もいっしょに引っかかり、二人で困ってしまいました。そこに雲に乗った大きなかみなりどんが迎えにきて、お礼にだるまちゃんをかみなりの国に招待してくれました。
Amazon商品紹介ページから転載
はじまりは唐突。だるまちゃんが家から出た瞬間、
ぴかぴか
ごろごろ!
がらがら
どしん!!
と、かみなりちゃんが空から降ってくるのです。初めは驚いただるまちゃんですが、すぐにかみなりちゃんと打ち解けて、お手伝い。一緒にがんばってくれたお礼にと、かみなりちゃんはだるまちゃんを空の上の雷の国に連れて行きます。
そこで待っていたのは見たことも聞いたことものないテクノロジーがいきわたった未来の風景!
楽しいプールや公園で存分にあそび、美味しいものをたらふく食べただるまちゃんは、お土産を受け取って地上の日常生活に戻って行きます。
オープンでフラットでファンな、だるまちゃん!
この本が出版されたのが50年前と考えると、このお話が多くの示唆を含んだ寓話であることに気がつきます。
外国への関心、宇宙への憧憬、未来への夢想、さまざまな未知との遭遇に対し、子どもたちがどのように振る舞えば良いか。「だるまちゃんとかみなりちゃん」は、そんなことを教えてくれているのかもしれません。
- どれだけびっくりしても、まずは受け入れること
- 詳細不明でも、困っている人がいたら手を差しのべること
- うまくいかなくても、コミュニケーションを楽しむこと
これができれば、気持ちはきっと通じ合わせることができるし、より刺激的で楽しい未来につながっていくはず。
絵本を眺めならそんなことを思うのは、飛躍しすぎでしょうか?
どんなことでも、
うんとこさ!ぴょうんとこさ!
と乗り越える勇気がもらえそうな、タイムレスでレボリューショナリーな一冊。もちろんおすすめです!
こちらも、我が家の蔵書入り。