トマトさん|素直がいちばん!ココロをひらけば快楽が待っている

トマトさん 絵本
福音館書店公式サイトから転載
絵本

赤くて大きな“トマトさん”の表紙が印象的な、「トマトさん」です。作者は田中清代(たなかきよ)さん。まず子どもたちは、インパクトが強い表紙に目が釘付け。見つけてしまったら、とりあえず読まずにはいられない一冊です。なんとなく旧作なのかと思いきや、初版発行は2006年7月!絵本の世界ではまだまだピチピチの新人でした。それでこの貫禄、恐れ入りました!

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作者は田中清代(たなかきよ)さん

作者の田中清代さんは、1972年生まれ。多摩美術大学油画・版画専攻卒です。在学中から絵本の制作をスタートしたという、根っからの絵本作家さんです。「トマトさん」巻末の作者紹介にはよると、2005年から神奈川県の山里に移り住み、庭で野菜を育てているとのことです。
そんなライフスタイルから生み出されたのが、「トマトさん」なんですね。

「トマトさん」以外の著作では、ダントツで「おきにいり」が気になりますね。笑

「トマトさん」あらすじ紹介

トマトさん
「トマトさん」福音館書店公式サイトから転載

まず、Amazon掲載の内容を紹介します。

ある暑い夏の日、真っ赤に熟れたトマトさんが、地面に、どったと落ちてしまいます。トマトさんは小川に泳ぎに行きたくなりました。でも、体が重たいので転がることができません。悲しくなったトマトさんは涙をぽろりと落とします。

Amazon商品紹介ページから転載

この「どった」という音がいいですよね。ほかにも、「ぶくぶく ぷっくり」「ぽっちゃん ぽよん」「とっぷん とっぷん」、魅力的な自然の音が絵本を満たしています。

痩せがまんなんて、まったく時間のムダ!

トマトさんがどったと地面に落ちるところからはじまる物語。最初はなんだかふてぶてしい表情を浮かべていたトマトさんですが、トカゲや昆虫たちとの交流を通じて(あと暑さのせい)、だんだんと素直に心をひらいていきます。
周りに心を開かず、自分の殻に閉じこもってやせがまんしているだけでは、誰も助けてなんてくれません。とうとう心が折れ、こぼれ落ちた涙と共に心を開くトマトさん。そのとたん、これまで近づいてすらこなかった多くの野山の仲間たちが、トマトさんを心配してあっという間に大集合!

誰しも最初から素直になるのは難しいですが、自らの弱みを隠さず、偉ぶらず、素直な気持ちを周りに伝えれば、きっとみんなが助けてくれる。その先にあるのは無常の喜び、快楽、融和、安らぎ、そんなお話しです。

「保育園にはトマトさんみたいな人いないー?」とか、「トマトさんみたいに、へんはがまんとかしちゃってないー?」とか、子どもとのコミュニケーションも楽しそうな絵本ですね。

トマトさんが川に飛び込んだ!

この場面とか、最高ですよね。笑
先端がまん丸の水しぶき。スローモーションでトマトさんの喜びが爆発しているイメージがじゃっぷーん!と広がります。そしてこの表情!

こちらは、我が家の蔵書入りです。

書誌データ

発行元 福音館書店 ※公式サイト
発行日 2006年7月15日
価 格 800円(税別) 
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