オジかわいい主人公が大活躍の、だるまちゃんシリーズ第3作「だるまちゃんとうさぎちゃん」です。作者は加古里子(かこさとし)さん。1作目てんぐちゃん、2作目かみなりちゃんと、架空のコワモテキャラクターがダブル主演となっていましたが、本作品は一転、みんな大好きあらゆる物語において基本的には善玉の“うさぎちゃん”です。だるまちゃんとだるまこちゃん(ヒロイン登場!妹だけど)とうさぎちゃんたちとの楽しい交流を楽しみましょう。ちなみに初版発行は1977年4月です。キャンディーズが、「普通の女の子に戻りたい!」と日比谷で叫んだ年ですね(知らんけど)。
作者は加古里子(かこさとし)さん
かこさとしさん、男性です。惜しまれつつも、2018年に92歳で永眠されました。東京大学工学部を卒業後、昭和電工で働きながら創作を続け、絵本作家となって以降も10年以上働きながら活動をされていました。退職したのが1973年とのことですので、前作の「だるまちゃんとかみなりちゃん」と本作「だるまちゃんとうさぎちゃん」の発行の間にフリーランスになられたのですね。
もう少し詳しい内容は、こちらの記事「だるまちゃんとかみなりちゃん」に掲載しました。
かこさとしさんの公式サイトにも、詳細なプロフィールが紹介されていますよ。
だるまちゃんシリーズについて
1967年、かこさとしさんが41歳の時に、第1作「だるまちゃんとてんぐちゃん」が発売となりました。その後、2018年に最新刊が出ていますので、50年以上にもわたって続いている大大大ロングセラーです。
現在までで出版されているだるまちゃんシリーズの絵本は、下記の全11作品。
- だるまちゃんとてんぐちゃん 1967年11月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとかみなりちゃん 1968年8月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとうさぎちゃん 1977年4月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんととらのこちゃん 1987年1月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとだいこくちゃん 2001年1月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとてんじんちゃん 2006年10月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとやまんめちゃん 2014年6月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとにおうちゃん 2016年12月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとかまどんちゃん 2018年1月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとキジムナーちゃん 2018年1月発行 ▶︎詳細はこちら
- だるまちゃんとはやたちゃん 2018年1月発行 ▶︎詳細はこちら
ゆっくりながら、着実につみでいくだるまちゃん叙事詩、圧巻の半世紀です。
「だるまちゃんとうさぎちゃん」あらすじ紹介
Amazon掲載の内容を紹介します。
雪の日、だるまちゃんが雪だるまの目にしようとしたリンゴが、雪の坂をうさぎちゃんたちのところまで転げ落ちていきました。だるまちゃんは、うさぎちゃんたちといっしょにいろいろな雪だるまや、雪ウサギを作ったり、ウサギの手袋人形を作ったりして遊びます。ナプキンをウサギの形にする折り方、リンゴをウサギやだるまの形にする切り方など、遊びがいっぱいつまった絵本です。
Amazon商品紹介ページから転載
だるまちゃんの暮らす世界に雪がふります。白銀の世界で自然と戯れ、雪の妖精のような白うさぎちゃんたちといろいろな遊びを楽しみます!
未来への暗示や示唆に富む前作「だるまちゃんとかみなりちゃん」とはうってかわり、純粋に「冬と雪と自然を楽しもう!」というメッセージが、シンプルに伝わってきます。
また、絵本後半の工作紹介も、本書の大きな特徴になっています。
雪だるま!丹下左前!座頭市!
雪が積もった時、いつの時代もまず最初に子どもたちが楽しむのは、雪だるま作りですよね。それは本書が発売された20世紀でも、現在の21世紀でもまったく変わりません。
ただ、片目のリンゴが落ちてしまった時にとびだす「丹下左膳」や、両目のリンゴがなくなってしまった(自分たちで食べた。笑)時の「座頭市」という例えには、時代を感じます。
作者のかこさとしさんは、この二人のキャラクターを、実は風の主役として意図をもって登場させていたようです。該当の箇所のみ、抜粋してみましょう。
もうひとつ冒頭と末尾の雪像を結ぶかくれた進行役がチャンバラの主人公です。丹下左膳は戦前男の子のヒーローで、戦後現れた座頭市は今も根強い人気です。バッタバッタと人を斬るのみでなく、持ちたい強さ、怒り、あわれさを障がいのあるこの二人が実現してくれるのにだるまちゃんたちも共感してくれると思い、影の形で登場してもらいました。ですからだるま、うさぎちゃん同様、左膳と座頭市をどうぞよろしく。
絵本巻末の作者あとがきより
最近のちびっ子はあまり知らないと思いますが、それぞれそうそうたるスターたちが、代わる代わる演じてきた人気キャラクターです。
今も活躍中の方でいてば、丹下左膳は、仲代達矢さん、藤田まことさん、中村獅童さんら演じています。
座頭市はなんと言っても勝新太郎さんが有名ですが、ビートたけしさんが演じた座頭市も記憶に新しいですよね。と言っても2003年、もう20年近く前なんですね…
座頭市で面白いのは、1989年にアメリカで公開された映画「ブラインド・フューリー」です。勝プロダクションから正式に許諾を得て製作された、アメリカ版「座頭市」です。主演はルトガー・ハウアー!初代「ブレードランナー」のロイ・バッティです。これは観たい。いや、観なければ。
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